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わたしの信仰 ー キリスト者として行動する
 アンゲラ・メルケル 著
 フォルカー・レージング編
 松永美穂訳
 新教出版社  2018年11月1日
  価格:2300円 (+税)

 信仰と政治を統合した気高い信仰を、明快な言葉で発しています。
 
 この本は、2005年間ドイツ連邦共和国で史上初の女性首相となった(そしてこの2019年時点でも首相であり続けている)アンゲラ・メルケルの、キリスト教に関するスピーチ集です。彼女がプロテスタントやカトリックなど様々な信徒大会や聖職者の会合などで語った、彼女の信仰とそれに基づいた政治家としての理念、目標、実践などが具体的に語られています。
宗教と政治の関わりはどこまで密接であるべきなのか、あるいは線引きをするべきなのか。また信仰と社会における行動はどのように連携しているべきなのか、それとも別世界の事柄なのか、日本のクリスチャンの間でも様々に議論は分かれるところです。

しかし、そのような問題に対してこのメルケルの言葉は、ひとつの明快な答えを提示しているように感じます。彼女においては、ドイツの政治的課題、すなわち経済政策、難民対策、福祉、教育、エネルギー問題、環境問題、グローバル化、安全保障など、さまざまな問題への取り組み姿勢の根底に、確固たるキリスト教信仰が存在しており、信仰と行動がしっかりと結びついています。
そこには、「信仰か、行いか」という二分法で立ち止まる人の陥りがちな曖昧さや停滞が一切ありません。信じることと行動することが一体化しており、変化を恐れず前向きで、実にきっぱりしていて痛快なほどです。

ひょっとしたら、ここに書かれていることをきれいごとと思う人はいるかも知れません。政治家が自らの政策の理想をとうとうと述べ続けているように感じ取れる面もあるからです。
しかし、公の場において「きれいごと」をきちんと演説できる人が存在しているというのは、とても大切なことです。理想論というのは確かに、今の現実では届いてない目標ではありますが、理想論がなければ民はどちらに向いて歩んで行けばよいのかわからないからです。指導者はより良き理想論をこそ力強く語ってほしいのです。
指導者が、人間の尊厳、基本的人権、自由と責任のバランスというものにしっかりと立ち、明快な言葉で語る様は、どこかの国とはあまりにも違い、羨望を覚えずにはおれません。

とはいえ、まずは一人一人のクリスチャンが信仰と行動、個人と社会、宗教と政治の問題を整理し、いかにこの世の問題に関わって生きるかについて考えてみましょう。そのために、このメルケル首相のスピーチ集は非常に有益な示唆に満ちています。
そのようなわけで、この本、お勧めします。
(2019年8月20日記)

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