新しいお酒と新しい袋

2010年6月24日(木) 同志社香里中学校 ショート礼拝奨励

説教時間:約10分(前後のトークを入れて約12分) お聴きになりたい方は→audio

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聖書:マルコによる福音書2章22節 (新共同訳・新約p.64)

 また、だれも、新しいぶどう酒を古い革袋に入れたりはしない。そんなことをすれば、ぶどう酒は革袋を破り、ぶどう酒も革袋もだめになる。新しいぶどう酒は、新しい革袋に入れるものだ。

謎めいた聖句

 学校では毎月「今月の聖句」という聖書の箇所を決めて、それを書道部の方に墨で書いてもらって、中庭と前庭のところの掲示板に貼り出してもらってます。
 4月の聖句をみなさんは憶えてますか? 
「求めなさい。そうすれば、与えられる」(マタイによる福音書7章7節)でしたよね。5月は憶えてますか?「狭い門から入りなさい」(マタイによる福音書7章13節)ですよね。どちらも、そんなに意味がわかりにくくないというか、なんとなく何を言いたいのかイメージできそうな感じの言葉です。 
 しかし、この6月の聖句は、今日読んだ聖書の箇所ですが、
「新しいぶどう酒は、新しい革袋に入れるものだ」(マルコによる福音書2章22節他)。
 これ何の意味かわからない人が多いみたいですね。
 実は、あんまりわかりやすい言葉ばかりじゃなくて、たまには「何じゃこりゃ?」と思うようなものもあっていいんじゃないかなぁと思って選んでみたのですが、「あんなの何の意味かわかりませんよね」とある先生に言われてしまいまして、やっぱりよくなかったかなと反省していたところです。

新しいお酒と新しい革袋

 なぜ新しいぶどう酒、つまりワインは、新しい革袋に入れないといけないのか。それは昔のワインは濾過しないで、発酵させてる途中の状態で、山羊とか羊の皮を縫い合わせて作った袋に入れて運んでいたからなんです。
 今のワインは、ガラスの瓶や箱パックに入って売られていますよね? しかも、濾過して酵母菌を取り除いているので、発酵は止まっています。でも、昔は革で作った革袋を使っていた。しかも濾過しないので、新しいワインは発酵が続いています。
 発酵というのは、酵母菌がブドウ汁の中の糖分を食べてアルコールとガスに変えていくプロセスです。アルコールができるから、ただのブドウ汁がお酒に変わるわけですね。問題は、この時発生するガスです。
 古い革の袋は、革がひからびて固くなっていて、中にはヒビが入っているものもあります。そういう古い革袋に新しいぶどう酒を入れると、どんどんガスが発生して袋が膨張しても、革が伸びないので、ヒビのあるところからパーンと割れてしまうんですね。それで革も袋もダメになります。
 でも、新しい革袋なら、まだ革が柔らかくて伸びしろがあるので、新しいワインを入れても割れずに保存することができます。
 そういうわけで、新しいワインは新しい革袋にいれなさい。古い革袋には古いワインを入れておきなさい、ということを、たとえ話としてイエス様は言ったわけですよね。

新しい人と新しい生き方

 この事をイエス様が話したとき、イエス様は何をしていたのかというと、今から2000年前のユダヤ人の国のことですけど、彼はユダヤ教の掟に縛られて、古い不自由な慣習と、人の罪深さを責めて、自由を奪うような宗教に支配されていた人たちの間で、何か新しい、自由な生き方を探ろうとしていたんですね。
 そして、新しい自由な生き方を手に入れた人間は、もう古いユダヤ教の枠の中には収まりきらないぞ! と宣言したのが、この言葉なんですね。「古い生き方を続けたかったら、古い宗教に留まっていなさい。でも、私たちは新しい生き方を切り開くから、新しくて自由な物の考え方が必要なんだ!」そういう意味で、新しいぶどう酒は古い革袋には入れられないんだ、と言ったんですね。
 キリスト教というのは、このイエスの言葉を今も受け継いでいて、いつももっと新しい生き方を、もっと自由な生き方を求めるのが本来の姿なんです。
 たとえ2000年も続いても、この姿勢があるから今も続いているんですよね。伝統も大事ですが、ただ古いものにしがみついてだけいたら、時代に乗り遅れてすたれてゆきます。

あなたたちはぶどう酒です

 学校も、一人一人の人間もそうです。今、学校も新しくなろうとしていますよね。そのための工事を行っています。新しい人が入って来て、新しいことができるように、新しい入れ物ができつつあるんだな、と思います。
 また、一人一人の人間も、昨日とは違う自分を新しく造り出してゆこう、今までになかったようなアイデアを出してみよう、今までになかったような物を作ってみよう、そしてそれによって、もっと人間の世界を楽しくて幸せなものにしよう。そういう人が世の中で求められています。
 ここにいるみんなは、新しい革袋に入った、新しいぶどう酒です。まだまだ今が発酵の真っ最中です。これからどんどんおいしい味のある人間になってゆけると思います。
 みんな自分の未来を信じてください。
 みんなの未来は明るいと思います。
 ぼくはみんなの未来を信じています。
 祈りましょう。

祈り

 神さま。
 今日もこうして生かされていることを感謝いたします。
 私たちがいつも新しい目で世の中を見渡し、新しい発想で世の中をどんどんよくしてゆけるように、明るい心と強い力を与えてください。
 イエス・キリストの名によって祈ります。
 アーメン。

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