『DVはなおる』味沢道明ほか(ギャラクシー・ブックス、オンデマンド ¥2,255-、Kindle ¥1,573-)

DVやモラル・ハラスメントの加害者の多くが男性です。被害者の多くは女性です。

被害者の女性の相談窓口やアドバイスは、ウェブ上にもあふれていますが、加害者の男性のための頼れる情報はほとんどありません。皆無と言っても良いくらいです。

当たり前のことだと誰もが言うかも知れません。被害者を救済するのが当然で、加害者は厳罰に処すべきであると。

しかし、加害者男性に苦しみが無いのかというと、そうではありません。加害者の男性も後悔し、罪悪感に悩み、もう二度と同じ過ちを繰り返すまいと誓います。それなのに、また加害を繰り返してしまう。そして訴え続けられ、賠償し続ける。生きている価値もない自分はさっさと死んだ方が良いのだと思い知らされる。このどうしようもない負のサイクルで苦しんでいる男性は多いのです。男性にも救済が必要なのです。

この本は、日本でも1ヶ所か2ヶ所しか無いと思われる加害者男性のケアを担う、「日本家族再生センター」の味沢道明さんが中心になって著された書物です。

その視点から見ると、実は日本のDV防止法こそがDVの減少に役立つどころか、むしろ増大させているという構造や、「離婚ありき」で進める支援が必ずしも当事者たちの幸福につながっていない上に、自立をしにくくさせている実態。また、福祉予算にたかる民間支援機関の利権体質とも言える問題点もあぶり出されてきます。

そして、もちろん被害者女性の救済は大切なのですが、本当にDVやモラハラを減らして行くためには加害者男性のケアと再生が必要なのだということが謳われています。

この日本家族再生センターでは、「メンズ・リブ」という立場から行われる、加害者男性のためのカウンセリングやシェルターという日本でも珍しい取り組みや、被害者女性と加害者男性が一緒にグループワークを行うという驚異的なプログラムがなぜ有効なのか、などが紹介されています。

人生を自分の手で打ち壊してしまった男性。もう二度と過ちを犯したくないのに、過ちを繰り返してしまう男性。その多くは、どうしようもない、治りようのない極悪人ではありません。何とかして治りたい、けれどもその方法がわからないために煩悶しているのです。

これは、そのような苦しみ続ける男性に救済の手を差し延べる、珍しい本です。

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