『[大きな文字で読みやすい]置かれた場所で咲きなさい』渡辺和子著(幻冬社、原著2012、[大きな文字版]2017、¥800-税別)

神があなたを植えたのだから、そこで神に向かって花を捧げなさい。

年配の方でも読めるように大きな字で組んだ版で読みました。美しい装丁です。絵のない絵本を読むような感覚で楽に読めました。

230万部のベストセラーでありつつ、中身はとても深いキリストへの信仰に裏打ちされた言葉が散りばめられており、バッハが多くのノンクリスチャンに愛されているのと同じように、普遍性を持つ書なのでしょう。

食わず嫌いと言いますか、元々私はこの『置かれた場所で咲きなさい』という書名からして好きではありませんでした。置かれた場所がひどい場所ならどうするのだ。どんな苦境に置かれても、そこにとどまって苦しみ続けろということなのか。そう思って反感を抱いていました。

しかし、この言葉は元々シスター渡辺和子の言葉ではなく、かのじょが出会った詩の一節でした。そして、元来は英語で「Bloom where God has planted you.」という言葉です。「神があなたを植えたところで咲きなさい」です。

つまり、単に偶然そこに放置されてあるのではなく、神があなたをそこに植えた。そのあなたを神が見守ってくださっている。神との関わりの中で、神に自分らしい花束を捧げなさい、ということなのです。

そこで想い出されてくるのは、ルカによる福音書にある「来年実がなるかもしれませんから」と肥やしをやる園丁のことです。ぶどう園に植えられたいちじくという場違いな木を、「来年も」また次の年も「来年も」と守り続ける園丁もまた神の姿に重なります。

あなたがどこにいようと神は見捨てない、というのが、この言葉に込められたメッセージ。本意は神と人との応答性だったのです。これを私は誤解していました。

ただ苦労に耐えよという人生訓ではなく、自分の寂しさ、弱さを愛おしむこと、また自分を赦し、人を赦す優しい関係を作ることなど。ページをめくるごとに、心に留めておきたい温かい言葉が現れます。

そしておそらく、人生の節目節目で何度か読み直した時、読むときの年齢によっても随分受け止め方が変わってくる本なのだろうと思います。それは、著者が85歳の時に書かれたこの本を著されたことで、それまでの著者の生涯の経験全て、生涯の年齢全てが踏まえられているからかも知れません。

これからも何度も開いてみたい、そしてまたそんなに長い本ではないので、すぐに探していた言葉が見つかる、絵のない絵本です。愛読書になりそうな気がします。

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