『恋愛小説家』(As Good As It Gets)1997年作品

スティグマを抱えた人々が愛と優しさを学んでゆく物語

これは人格障がい者の恋の物語である。
映画の説明欄には「偏屈で潔癖症の変人」の男性が、「なんと」「子持ちのウェイトレス」と恋に落ちた……などと書かれているが、この主人公は「偏屈で潔癖症の変人」というより、今風に言えば強迫神経症で人格障がいを抱えた男性である。

思えば、これは、ゲイ、アフリカ系、シングルマザー、そして人格障がいを抱えた人間という4種類の「スティグマ」を抱えた人たちの愛の交流の物語である。

もちろん、この映画が製作されたのは1997年で、もう24年前の作品であることもあり、例えば、ゲイがいかにも「オカマっぽい」描かれ方(「女っぽい」クネクネした演技など)をしているなど、現在の我々が違和感を抱かざるを得ない点があるのは否めない。

また、シングルマザーについても、「そこまでネガティブなことか?」と思わされるような描き方がなされている(もちろん私がそう思う背景には、我々の時代に至るまでの女性解放運動の成果があってのことなのだが)。

とにかく、そういったキャラクターが一種の「スティグマ」として扱われるような時代の作品だということは踏まえておかなければいけないと思う。

ただ、当時の認識としてはそんなものなのだろうと、とりあえずおくとすれば、それぞれの人物がそれぞれスティグマを抱えながらも、心底に隠していた優しさを、実に不器用に交わし合いながら、次第に互いに支え合いながら生きるようになってゆく姿が、じんわりと温かい味わいのうちに描かれてゆく姿は、心が温まる。

古い映画なので、ややストーリーの進み具合がのろい。しかし今時の映画よりセリフが多くて、よく言えば丁寧だ。昨今の随分スピーディな展開の映画が疲れる人は、これくらいがちょうど落ち着いていて良いと思うかもしれない。

いい歳をして、人を愛するということができない人たちが、時間をかけて失敗しながら、ゆっくりと人を愛することを習ってゆく物語。そのような形容ができる映画だと思う。