次亜塩素酸の話

 2021年2月18日(木)・22日(月)

 同志社香里中学校・高等学校 ショート礼拝 奨励

 牧師:富田正樹

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聖書の朗読&お話(約7分)


 マタイによる福音書23章29b−32節(偽善者は不幸だ) 
(新共同訳)
 



▼次亜塩素酸水の話

 おはようございます。宗教主任の富田です。
 今日は「次亜塩素酸の話」をしたいと思います。
 「次亜塩素酸」という言葉を聞いたことがある人は多いと思います。なぜなら、新型コロナウイルス感染症が流行り出した頃、最初の頃、消毒によく使われていたのは、この「次亜塩素酸水」だったからです。
 今は、この「オスバン」が使われていますが、以前はこの「次亜塩素酸水」を使っていました。
 ちなみに今、「次亜塩素酸水」はどこで使われているかというと、例えばノロウイルスが出た時には、この「次亜塩素酸水」で消毒します。
 これは要するに「塩素」で病原菌をやっつけているわけですが、例えば、プールで水を殺菌するのは「次亜塩素酸ナトリウム」と言う薬品で、これもこの薬品を14万倍に薄めて、その中の「塩素」で消毒しています。もちろんみんなが普段使う水道水も同じくらいに薄めた塩素で、消毒されています。
 こんな風に、案外身近に使われている塩素消毒ですが、これを最初に使い始めた人が誰か知っていますか?

▼センメルヴェイスという人

 それは19世紀のハンガリーにいた、センメルヴェイス・イグナーツというお医者さんです。
 今から200年ほど前の19世紀、赤ちゃんを妊娠した女性が、熱を出して死んでしまう「産褥熱」という病気が流行っていて、たくさんの人たちを悩ませていた、そういう時代でした。
 そんな時代に彼は、お医者さんや看護師さんがちゃんと手を洗って手当てをすれば、驚くほど病気が治って、死亡する人も劇的に少なくなることを発見しました。
 今から考えたら当たり前のことですけど、「手を洗えば病気が防げますよ!」と言い始めたのは、このセンメルヴェイスというお医者さんだったのですね。
 そして、彼が手を消毒するのに使ったのが、この塩素が含まれた「次亜塩素酸カルシウム」だったんです。
 それでこの人は、今では「公衆衛生の父」と呼ばれて、ハンガリーのブダペストに像も立っています。今はですよ?

▼センメルヴェイス反射

 でも、実はこの人が「みんな! 手を消毒しよう!」と言い始めた時、当時のお医者さんたちは、誰も彼を相手にしませんでした。そして「石鹸屋の回し者め!」と馬鹿にされて、ついには医者の仕事も奪われて……それでも「手洗いは大事なんだ」と言い続けていた彼は、ついに頭がおかしいということにされて、精神科の病院に入れられて、そこでお医者さんたちの暴力にあって、その怪我がもとで死んでしまいます……。
 その歴史から、「今までみんなが考えていたことと違う、新しい事を唱えた時、みんなが『そんな馬鹿な!』とか、『それは常識はずれだ!』と言って「反射的に」拒否する。そういう反応のことを「センメルヴェイス反射(Semmelweis Reflex)」と言うようになったそうです。
 
▼新しい事を恐れるな

 思えば、キリスト教のもとになったイエスという人も、新しい教えを広めようとして十字架につけられた人でした。
 また、同志社を建てた新島襄も、随分、無理解な人たちに痛めつけられました。
 皆さんもこの先、何か新しい発見をした時、それがどんなものかちゃんと確かめもしない人たちから、反射的に拒否され、痛めつけられることもあるかもしれません。人間の社会には、そういう痛々しい面も現実にあります。
 でも、それは「センメルヴェイス反射」に過ぎないんだと思ってください。
 今、私たちが衛生的な生活ができているのは、センメルヴェイスのおかげなんだということを思い出して、どうかみんなは新しいことを恐れない人になってくれたらな、と思います。
今日のお話は以上です。





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